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試験勉強

コラム 資格試験よもやま話

~試験会場で遭遇する数々のガチャ~

はじめに

資格試験の受験者にとっての最終目標はほかでもない試験日当日。

年1度きりのこの瞬間のため多大な時間と労力をかけてきた受験者にとって

この日をどのような環境下で迎えるかで試験の出来自体が左右されるといっても

過言ではありません。

今回は20年間にわたって税理士試験、社会保険労務士試験をそれぞれ受験してきた

筆者の経験から試験会場で遭遇する様々なガチャと対応策(?)について綴っていき

たいと思います。

1 受験地ガチャ

資格試験は全国共通の日時に開催されますが47各都道府県すべてに試験会場が

用意されているわけではなく、税理士試験は12都道府県16会場、

社労士試験は19都道府県27会場となっています(いずれも令和5年度試験実績)

受験申し込みの際に試験地の都道府県の希望は出せますが受験申し込みの段階では

具体的な会場の開示までは無いため会場の指定はできません。

前年までの会場実績で大体の予想はつきますが、思わぬ会場に当たる可能性もあり

そのような場合、移動手段等については事前によく確認しておく必要があります。

ちなみに筆者は初めて訪れる試験会場が当たった場合は、試験日の前日までに

必ず家を出る時間や移動手段をまったく同じ状況でシュミレーションがてら下見に

出かけていました。

特に税理士試験は3日間すべて平日に行われ1限目の科目の開始は朝9時のため

交通機関は朝の通勤ラッシュにぶつかるうえ、遅延が生ずる可能性も高いため

少しでも早い時間に現地到着するに越したことはありません。

地方の方はもとより都市圏内の方でも場所や移動時間によっては万全を期して

会場近くに前泊する方が賢明かと思います。

競走馬と同じくスクーリングは大事

2 空調ガチャ

無事に試験会場に入りひと安心のところですが次は自分の席がどのような場所に

割り当てられるかによっても当たりハズレがあります。

税理士試験・社労士試験ともに8月中に開催されますので会場内は当然、エアコンが

かかっていますが効き具合が悪くて暑く感じたり、逆に座席の位置によっては

エアコンの風が直撃したりして寒く感じたりすることもあります。

個別に設定温度の調整に応じてもらえることはほぼありませんので上着や

羽織れるものを持参するか、脱ぎ着しやすい服装で出かけることが望ましいです。

余談ですが、以前の税理士試験は冷房が入らず会場内がほぼサウナ状態で試験を

実施していました。

筆者が初めて税理士試験を受験した2003年は東京の会場ではすでに冷房が

入っていたので正確にいつまでそのような状態だったかというのは定かでは

ありませんがそれほど昔ではない2000年前後まで続いていたようです。

冷房はもちろん試験中の水分補給も認められるようになった現在と比べると

過酷以外のなにものでもない受験環境ですし当時受験されていた方へ多大な

敬意の念を抱いてやみません。

試験中に倒れて搬送される方も毎年一定数いたそうです

3 机・椅子ガチャ

受験環境の中で最も重要でありながらあろうことかハズレが多いのが会場内の

机と椅子。

まず大ホールの会場では長机にパイプ椅子だけという突貫設営がほとんどで

運が悪いと机や椅子自体ぐらついてることがあります。

また、大学の会場の場合は机の幅が狭く十分なスペースが確保されていなかったり

椅子と机が一体化していて背もたれが無いパターンのものもあります。

筆者が経験した中でワーストだったのは2年目に税理士試験を受験した際に行った

大学会場で椅子のひとつひとつに折り畳み式のテーブルが付いているものでした。

電卓を叩くたびにグラグラと上下に揺れたうえ、テーブルの大きさも小さく

当時は問題用紙が今のA4サイズではなくB4サイズだったため問題を開いて解答用紙

まで置くと完全にテーブルからはみ出てしまう始末でした。

あまりのスペースの無さに仕方なく問題用紙を常に片手に持ちながら受験をしていた

人もいました。

この折り畳みテーブル椅子を使用している試験会場はさすがに近年はありませんが

冷房の件も含め過去の税理士試験がいかに劣悪な環境下で開催されてたかが見て

とれます。

悪名高き折り畳みテーブル椅子。あまりの小ささに絶句した記憶が 

4 騒音ガチャ

税理士試験の試験要領の中の注意事項には試験中に日常的な生活騒音等として

・試験監督者の巡回による足音、監督業務上必要な発言

・航空機、自動車、雨風、空調の音

・周囲の受験者の咳、くしゃみ、鼻をすする音

・計算機の打音、照明の点滅等

といった項目が挙げられており、同じく社労士試験の注意事項はそれに加え

・ドア等の開閉音

・試験監督者の監督業務上必要な会話、事務作業により生じる筆記音、封筒から

 書類を取り出す際の音等

・緊急車両等のサイレン

・犬、蝉等の鳴き声

・街頭宣伝

とさらに具体的な事項が加わっています。

どれも試験の緊張で張り詰めている状態では過敏に反応してしまいがちな騒音だと

思いますが、税理士試験・社労士試験ともにこれらが発生した場合であっても受験者

に対して救済措置は行わない記載がされています。

ちなみに筆者の受験した平成23年の税理士試験では2限目の財務諸表論の試験時間中

に地震が発生するハプニングがありましたが試験は何事もなく続行されました。

このクラスの揺れの地震が来ればさすがに試験中断かと思われますが…

試験会場が快適に受験できる環境かどうかは結局、運の要素が多分にあります。

ただし筆者の場合、学習が不十分だった年の受験の際は周囲の受験者や試験監督員の

姿がやたら気になっていましたが合格した年の試験ではそういった光景がいっさい

目に入らないほどただただがむしゃらに目の前の問題に必死になって取り組んでいた

記憶があります。

普段から意識的に騒音のある環境で学習をするなどして慣れておくことも大事ですが

一番の対策はそのような物音が気にならないほど試験問題に全集中できるよう学習を

積み重ねていくことなのでしょう。

どんな監督員が通りかかっても気にしない集中力が必要

5 体調ガチャ

試験当日は万全の体調で迎えたいものですが予期せぬ異変に見舞われる可能性もあり

ます。

特に食生活については試験直前の暴飲暴食をしないことは当然のことですが

とある専門学校の講師からは

「初めての店では外食しないこと」

と徹底したお達しがあったほどでした。

また、税理士試験は基本的に試験中の用便が禁止ですが、どうしても行きたくなった

場合は試験監督員に挙手して知らせたうえでトイレ退出することは可能です。

ただし、税理士試験は多くの場合は2時間ギリギリ、もしくは2時間では到底解きき

れないほどのボリュームの問題が出題されるため1分1秒でも無駄にしないことを

考えれば途中でトイレに立つことは自殺行為でしかありません。

こうした状況もあって念には念を入れておむつを履いて受験する人もいたとかいない

とか。

逆に社労士試験ではトイレ退出は禁止事項にはなっておらず特に午後の択一式は

試験時間が3時間30分の長丁場なので休憩の意味でもトイレに立つことは効果的と

言えるでしょう。

なお、不正行為に対する監視のためトイレに立ってから自席に戻るまで常に試験

監督員が付き添います。

ちなみに筆者は税理士試験はもちろん、社労士試験でもただの一度もトイレ休憩に

立った経験はありませんでした。

今は試験中の水分補給も自由ですが補給のし過ぎでトイレに駆け込むことの無いよう

ほどほどにしておいた方がよいでしょう。

試験直前は出来る限り体力温存

おわりに

税理士試験、社労士試験の受験申し込みも始まり専門学校ではそろそろ直前期対策に

突入することかと思います。

筆者は2022年をもって試験勉強生活にようやくピリオドを打つことが出来、

今は事務所の経営を軌道に乗せるべく集客に明け暮れる日々となっておりますが

たとえ何年経っても毎年この時期は税理士試験や社労士試験へ思いを馳せ続けること

になるでしょう。

受験される方々すべてが心身ともに万全の状態で試験本番を迎えることが出来るよう

願ってやみません。