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連載 独立開業までの道のり(第15回)

~ここは事務所じゃない、戦場だ!!~

「この連載は新卒で就職に失敗し20年以上に及ぶ試験勉強生活の末、
税理士・社労士資格を取得し苦節46歳にしてようやく悲願の個人事務所開業を
果たした男の資格取得を決意してから独立開業までの壮絶な過程を
複数回にわたって投稿していくものである」

Back in 2016

新天地でのスタートは年明けからイバラの道となりました。

元々隣県に本社とは別の支所があり、業務のすべてを行っていた社員の方が
いたのですが退職してしまい支所が閉鎖、担当していた顧問先のすべてが宙に浮いた
状態になってしまいました。

本社でまるまる引き受けることになりましたが、本社自体も当時いたのは上席と
総務担当のパート女性の二人のみ。

臨時で上席が顧客担当をしていたものの顧客数ではむしろ支所の方が多く
会計入力までとても追いつかない状況。積み重なった書類や段ボールの山を前に
途方に暮れており顧客担当が出来る正社員の補充が急務となっていました。

幸い自分が派遣で入った時期と同時に若手の正社員が一人入りましたが
業界未経験とあって戦力としては当然、計算が立たず。
人員が落ち着くまで派遣を使ってしのごうという考えだったようです。

一社員として入社したはずが顧客関係の交通整理と事務所内部の立て直しを
一手で手掛けることに。

顧客も人員も成熟していた前事務所とは何もかもが正反対、
荒廃しきった現状はもはや会計事務所としての体を成しておらず
思わず頭の中で冒頭の言葉が浮かんでしまいました。

事務所内のイメージその1
事務所内のイメージその2

1月の定型業務は前年の記録を頼りになんとか乗り切るも最初の難関は
個人の確定申告。上席すら満足に内容を把握していない先も多い中、
雲を掴むような感覚で業務を進めざるを得ませんでした。

連日連夜、深夜近くの帰宅、土日祝日関係ナシの連続出勤も
これまで培った経験をフルに発揮して無事期限までにすべての申告を終えることが
できました。手前味噌ながらこの年の確定申告はひとえに自分の存在なしに乗り切る
ことは出来なかったと今でも思っております。

繁忙期からわずか5日後、無謀にも人生初のフルマラソンに挑戦してしまいました。
直前に練習で30キロ走を1回やったものの42キロという距離はまったく未知の世界。

まともに走れたのは27~28キロあたりまででそれ以降は脚が動かず
ちょっと走っては歩く、の繰り返し。

それでも

「ウォーキング大会に来たわけじゃない」

とばかりにラスト2キロだけは気力で走り切りなんとか制限時間以内で
完走いたしました。

ゴール直後は全身筋肉痛で完全に生まれたての小鹿状態に。
ハーフマラソンとはまったく次元が違いフルマラソンを完走する方の
偉大さを実感した一日でした。

記録は5時間48分54秒。ボロボロになりながらの完走でした。
折り返し地点(江戸川区小松川付近)の様子

事務所での次なる関門は5月の3月決算法人の申告。
事務所全体で20件以上の申告数があったためもう一人派遣社員が加わりこちらも
なんとか乗り切ることができました。

その月の初めには閉鎖していた支所も最寄りに移動したうえで再開し新たにパート
女性を雇い入れて再スタートを切りました。

6月に入りさすがに落ち着くだろうと思っていましたが自身が担当する申告に加え、
若手社員の担当していた顧客の決算と申告をフォローをしたのもあって依然として
バタバタ…7月に入ってようやく落ち着き最後の追い込みをかけて税理士試験に臨み
ました。

大学院は2年目に突入し講義は教授による修士論文に関する指導のみとなりましたが
用事がある日(?)にしか開講しない教授の方針によりズルズル引き延ばされ肝心の
テーマすらなかなか決まらず。
ようやく具体的な作成に取り掛かったのは税理士試験が終わった8月以降になってか
らとなりました。

それ以降は週末に中野の租税資料館に通って題材となる文献を探してはコピーして
持ち帰り、平日夜にひたすらワードを叩いて作成を進めるという日々が続きました。

当時通い詰めた租税資料館。

そして年末も近づいた11月、バタバタしながらもなんとか毎月切り抜けていたとこ
ろでさらなる試練が訪れました。

かねてから素行の悪さが問題視されていた若手社員でしたが上席の再三の注意にも
かかわらず態度を改めずついには退職することに。

担当していた件数は少なかったものの1件あたりの会計入力のボリュームが重く、
自分以上に残業、休日出勤をしておりやる気のある面もありましたが内容を把握し
た上で直接業務指示できる者がいなかったことが本人をさらに増長させる結果と
なってしまいました。

そして年末の税理士試験の結果発表は恒例の不合格。
仕事と大学院の論文作成に忙殺され試験勉強は完全に二の次、三の次という
本末転倒な状況となり、前年までに合格出来なかったことがここにきて
またこの先もボディーブローのようにジワジワ効いてくることになるのでした。

つづく