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連載 独立開業までの道のり(第3回)

~初めての事務所就職、しかし~

「この連載は新卒で就職に失敗し20年以上に及ぶ試験勉強生活の末、
税理士・社労士資格を取得し苦節46歳にしてようやく悲願の個人事務所開業を
果たした男の資格取得を決意してから独立開業までの壮絶な過程を
複数回にわたって投稿していくものである」

Back in 2005~2006

5回目の受験にして社労士試験に合格した直後から
会計事務所への就職活動を開始しました。

しかし、当時(2005年〜2006年)の会計業界は今と違って完全な買い手市場。
手始めに専門学校主催の合同就職面接会に出かけてはみたものの
大手事務所はだいたい年齢25才以下、かつ3科目以上の合格者希望と
かなりの高条件…

自分のスペックはというと年齢も29歳を迎え、合格科目ゼロ、実務経験なしの3重苦…
「あなたの年齢で未経験だったら税理士資格を取った状態じゃないと話にならない」
と面と向かって言われ門前払いを受けた先もありました。

社労士合格もほとんどの先で「ふ〜ん」程度の反応でほぼ相手にされず
会場に来ていた他の求職者たちの若さとフレッシュ感に
いたたまれない気持ちになりそそくさと退散してしまいました。

次はハローワークに出向き比較的ハードルの低い小規模個人事務所をあたりましたが
年齢希望は大手ほど低くはなかったものの最低2年以上の実務経験者を求めていると
ころがほとんど。

ダメ元で面接してもらえないか窓口の方に数多くかけあってもらいましたが、
1~2名の募集に対してどこも応募者がその2倍3倍といった状況でここでも苦戦…
就職どころか面接すらしてもらえない状況のまま、年越しを迎えてしまいました。

年明けも引き続きハローワークに絞って求職活動していたところ
未経験者歓迎、資格の有無問わず簿記が分かればOK、年齢も30代までなら可
という願ってもない求人の事務所を見つけました。

藁をもすがる思いで面接に出かけたところまさかのその場で内定をいただきました。
所長先生のユーモアがあって豪放磊落な性格にも惹かれ即、お世話になることに。

初めて飛び込んだ会計事務所でしたが所長先生は実務には一切タッチせず職員任せ。
当時いたベテラン職員2人から主に指導を受けていましたが入所して1か月が経過し
たころからそれまでお客様扱いだった態度が一変、質問してもキツく当たられるよう
になり、元々手取り足取り仕事を教えてもらえてなかったのが半ば放置状態に。

さらに悪いことにベテラン社員のうちの1人が急遽退職することになり
その方が担当していた顧客をほぼ同時期に入所した2人と合わせた3人に割り振ら
れ、未経験から入所わずか2か月弱で20件ほどを担当することになってしまいました。

それ以降、引継ぎの挨拶がてらベテラン職員に顧問先へ同行する日々となりましたが
そこでも具体的な業務説明は一切無く、仕事の全体像すら把握していない状態での顧
客担当に不安だけが増す日々…

新たに番頭となったもう1人のベテラン社員からも肝心の所長からも
「お前の担当の客なんだからお前で何とかしろ」
とフォローがあるどころか逆に突き放される始末でした。

心身ともに疲弊していく中で迎えた5月末の決算期。
申告書を作成しようにも訳が分からずただ時間だけが過ぎていく
生き地獄のような状況が続きました。

やっとベテラン社員から決算と申告書作成の説明を聞けるはずだったその日の
夕方になって突然、お客に飲みに誘われたと出かけてしまいこの期に及んでも放置…

夜遅くにようやく事務所に戻ってきてからマンツーマンの指導が始まりましたが
時間にも追われる中、「こんなことも知らないのか」
と罵倒されながらなんとか申告書が完成したのが午前2時…

終電も無くなり事務所の車で家の近くまで送ってもらいましたが、
その一件をもって張り詰めていた糸が完全に切れました。

明け方まで両親と話し合った結果、即日での退職を決意。
翌朝、書いたばかりの退職願を手に意を決して事務所に出勤しました。

つづく