Categories
ライフスタイル

連載 独立開業までの道のり(第18回)

~努力不足と魅力不足~

「この連載は新卒で就職に失敗し20年以上に及ぶ試験勉強生活の末、
税理士・社労士資格を取得し苦節46歳にしてようやく悲願の個人事務所開業を
果たした男の資格取得を決意してから独立開業までの壮絶な過程を
複数回にわたって投稿していくものである」

Back in 2019

試験不合格を受けて前年末、上席と話し合いの席を持ち管理職を外れたい意向を
伝えました。

入社以降ひとつの科目合格も果たせていないのは自頭の悪さと要領の悪さが
一番の原因であるとはいえ学習時間が足りていないことも多分にありました。

毎年、発表直後は

「元気200パーセントで365日休みなく勉強するぞ~!!」

と意気込んで学習を開始するも1月の年初業務、確定申告、5月の3月決算法人申告と
立て続けに押し寄せる繁忙期の波に時間を削られ疲労も蓄積して学習のペースが乱れ
て質も低下、ようやく業務が落ち着く7月になってから集中して勉強するも時間が足
りず、準備が間に合わず試験に突入…

入社以来、毎度毎度そのパターンを繰り返していたこともあり勉強時間を確保するた
めにはライフスタイルそのものを変えることしか打つ手がなく、話し合いの結果によ
っては退職も辞さない覚悟での申し出でした。

完全に自身のエゴとも言える要望でしたが管理職を外れることは他になり手がいない
ことを理由に実現せずも正社員に昇格した支所のパート女性がバックオフィス部門の
管理部長として役職に就任しこれまで自分が手掛けていたメンバーに関する一切の雑
務も合わせて引き受けてくれることで一応の決着をみました。

加えて実務部隊のサポートとして繁忙期を迎えたタイミングで派遣会社経由で現役で
個人開業されている税理士さんが臨時アルバイトとして加わることになりました。

この方のようなパワフルな生活はとても出来ず

確定申告は相変わらず件数が増える一方でしたが、前年すべて自分が手掛けた小規模
な不動産申告の案件を開業税理士の方に手掛けていただき、有資格社員、新卒社員
それぞれの成長も相まって順調に申告が進み、最終申告日まで数日を残した段階で全
体でほぼ目鼻が立つ状況に。

人員が増え自然と所内にも活気が出てきたのを見るにつけ初めて自分が事務所に来た
時のあの焼け野原状態だった光景が思い起こされました。

人がいるのといないのとではこうも展開が違ってくるものなのだと人材ひとりひとり
の大切さを実感した繁忙期となりました。

確定申告後が明けた3月後半には年明けに入院手術をした母が再び入院手術することに。

手術当日の立会いはもちろん、術後も何日かは定時で退勤させていただき見舞いに出
向きました。手術時間中はひとり待合室で父と姉の到着を待ちながらただひたすら手
術の成功と母の無事を願い続けました。
幸い術後の経過は良好で家族一同、健康の大事さをしみじみ実感いたしました。

病院へ行く際に利用した京成アクセス特急

婚活の方は繁忙期前のお見合いで知り合った方と意気投合し仮交際デートを複数回
重ねる関係となりやがて真剣交際へと進展しましたが、交際の過程で生じたお互い
への不信感が原因ですれ違い交際終了に。

以降もお見合いの機会はありましたが破局のショックの影響からか結局、
交際に繋がるご縁は無く。

心身ともに疲弊しいわゆる婚活疲れを起こしてしまい税理士試験の直前期を迎える
こともあって相談所を休会し活動を中断いたしました。

税理士試験の会場は池袋の立教大学。自室から徒歩で受験しに行きました

そして夏真っ盛りの8月、それにも増してショッキングな出来事が。

税理士試験受験の関係で1週間ほど有給をとり事務所を不在にしている間に有資格社
員が突然、上席へ退職を申し出ていたことが判明しました。

個別に担当先を持つようになった頃から上席の無茶振りとも言える業務指示に度々、
感情を露わにして反発する場面が見られましたがとある顧客への対応の仕方を叱責
されたことで不満が一気に爆発。

入社から2年半が経過しこれからという時の退職に受けたショックははかり知れませ
んでしたが、退職を決意するまでの経緯を聞くと本人の甘えも少なからずあったもの
の順調に実務を吸収し経験値を重ねていたと思われた裏で特に対人面で苦悩していた
ことを知り、後輩の秘めたる思いに目を配らせるに至らなかった自身のフォローの甘
さも大いに反省すべきところでした。

早速、担当先の引継ぎが行われましたが本人が対応に悩んでいた先をはじめ、
何かしらの課題を抱えている顧客については自分に、残りの顧客については
主に新卒社員へとそれぞれ引き継がれました。

腹いせに行われた飲み会の様子
腹いせに行われた飲み会の様子2

大切な人材を失った悲しみに暮れる間もなく求人を開始したところ、ほどなくして
新たな仲間が加わることに。

23歳の若手男子で事務所最年少だった新卒社員よりさらに1学年下、真面目な人柄と
短期間ながら会計事務所での勤務経験もあるということで俄然期待が高まり即、採用
が決定しました。

入社を前にして新規社員の教育体制の見直しも図られ管理部長の協力も得て
1日、1週間、1か月単位での教育計画を個々に作成し入社後1か月間は毎日、
退勤直前にその日の振り返り面談を実践。

また、有資格社員の件での反省から初期教育後のフォローの重要性を認識し、
2年目を迎えた新卒社員についても月初に1度面談の機会を設け、
前月の振り返りと当月の目標を本人に設定させたうえで業務上の課題や悩みに
関してのヒアリングとアドバイスを行う試みを開始しました。

すでに対人面では顧客や上席から好評価を受けており着実に成長は遂げていました
が直属でしかも年下の後輩が入社したことが嬉しかったようで基礎的な教育はもち
ろん昼休みはほぼ毎日連れだって外食に出かける等、面倒見の良さも発揮してくれ
ました。

10月には入社した最年少社員の歓迎会も兼ねて初めて本社の税務会計部門と支所の
バックオフィス部門のメンバーが一同に会し懇親会を実施、大いなる盛り上がりで
メンバー間の親睦が一気に進み、12月には事務所創立10周年記念として特にお世話
になっている顧客や士業先生をお招きし総勢50名近くのド派手な忘年会が挙行さ
れ、レクリエーションにも大いに力を入れた1年となりました。

忘年会が行われた房’s (ボウズ)新宿店(2021年閉店)
プログラムの中のメニュー表

税理士試験の合格発表は前年よりはマシな成績もお約束の不合格。

毎年の不甲斐ない報告に一番の理解者である友人からは

「覚悟が足りてないのでは?」と

かなり堪えるダメ出しを受けてしまい、ぐうの音も出ず。

試験後に再び婚活もしていましたが真剣交際に進むことなく終わり再び勉強に集中し
た生活を送るため相談所を退会することを決断しました。

中断期間も含め1年4か月活動しましたが、最初のお見合いですら成立は数えるほど
で真剣交際まで進んだのは結局1名のみ。

自身の努力不足に加えて男としての魅力不足も際立った散々な一年と
なってしまいました。

つづく